まちづくり・お宝バンク

食を通じて社会とつながるきっかけをつくる「フードバンクこども支援プロジェクト」(第3回市民ライター講座の記事)

掲載日: 2019年6月5日

 

みなさんはまだ食べられそうな食べ物を捨ててしまって、もったいないと感じたことがありませんか? 日本ではまだ食べられる状態の食べ物が年間で約646万トンも廃棄されているといわれていますが、その量は世界の食料援助量の約2倍に匹敵するそうです。

それと同時に、日本の7に1人の子どもは1日3食満足に食べれない状態にあるともされています。学校給食のない夏休みなどの長期休暇中には十分な食事を摂ることができず、休み明けに痩せて登校してくる子どもも少なくありません。

まだ食べられる食品を大量に捨ててしまっている現実。一方、ご飯を満足に食べることができない子供がいる現実。そのふたつの問題の解決を目指しているのが、NPO法人セカンドハーベスト京都です。

スーパーや農家、家庭で発生した余剰食品を無償で提供してもらい、低所得家庭などにける「フードバンク」。その動きは1980年代のアメリカで始まり、ヨーロッパ、アフリカ、アジアなど世界中に広がっています。現在、日本国内では80地域で展開されているそうです。セカンドハーベスト京都の設立は2015年12月で、夏休みや冬休みなど長期休暇中に就学援助世帯を支援する「フードバンクこども支援プロジェクト」は2018年に京都市と八幡市でスタートし、291(延べ)世帯に届けられました。

プロジェクトは「コストコホールセールジャパン株式会社」といった企業の協力や、独立行政法人福祉医療機構(WAM)の支援で成り立っていますが、もちろん個人でもさまざまな応援が可能です。特に食品の寄贈ではお米のほか、レトルト食品、缶詰などが喜ばれるそうです。

このアイデアは、福祉と環境という二つの大きな社会問題に同時に取り組んでいるといえます。社会問題はどこか遠くにあるのではなく私たちの身近にあるからこそ、子どもたちが笑顔になるために私たちにできることもすぐそばにあるのです。

みなさんも贈答品などで食べ物に余りが出たときは、必要としている人の手に届けてみませんか? その確かな手応えが、社会とつながり直すきっかけとなるはずです。

記事の執筆 京都精華大学人文学部学生

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