企業 NPO・まちづくり団体 行政にとっての 市民協働イノベーションエコシステム
東山いきいき市民活動センター岡本さん

~東山いきいき市民活動センター/まちとしごと総合研究所 岡本卓也さん

京都市 総合企画局総合政策室 SDGs・市民協働推進担当とSlow Innovation株式会社は、市民協働イノベーションエコシステムの構築・活用をめざした連携協定を結び、「市民協働イノベーションエコシステム調査」のプロジェクトを推進している。「持続可能なまちづくりを支える生態系(エコシステム)って何なんだろう?」「どうしたら、地域の未来をつくるイノベーションが次々と生まれてくるのだろう?」という問いのもと、京都を中心に市民協働やイノベーションに取り組んでいるさまざまな組織・人財にインタビューを行なっています。

今回は、3つのいきいき市民活動センターの指定管理を行っている「まちとしごと総合研究所」のコアメンバーの一人、「東山いきいき市民活動センター」のセンター長の岡本 卓也さんにお話を伺いました。

話し手: 岡本 卓也(Takuya Okamoto)
1983年生まれ。2009年(特活)きょうとNPOセンター入職。ボランティアコーディネートやNPO法人設立・運営相談等を務める。また、大学生の活動拠点「学生Place+」の立ち上げ・運営に携わる。2013年より、市民が主体的にまちづくりに取り組む「京都市未来まちづくり100人委員会」の運営本部及び委員のコーディネートやファシリテーションを担当。2015年4月より現職。100人委員会の運営に加え、まちづくり・地域づくりの現場でのファシリテーターとして従事している。2016年4月より、京都動物愛護センターにてボランティアコーディネート業務を担当。2016年6月より、京都市東山いきいき市民活動センターのセンター長に就任し、公共施設を軸にした地域づくりに取り組んでいる。
聞き手: 野村恭彦(Nomura Takahiko)|Slow Innovation株式会社 代表取締役
金沢工業大学(K.I.T.虎ノ門大学院)イノベーションマネジメント研究科 教授。博士(工学)。「渋谷をつなげる30人」を主宰し、5年目を迎える。昨年より京都拠点を立ち上げ、「京都をつなげる30人」は2年目の開催。企業・行政・NPOのクロスセクターでの「信頼のつながり」をつくり、「地域から社会を変える」イノベーションエコシステムの構築をめざして活動している。

今回は、まちとしごと総合研究所(以下まちごと総研)の岡本さんが、京都市の指定管理として運営されている、東山のいきいき市民活動センター(以下いきセン)についてインタビューしました。市民協働エコシステムの観点から、市民発の動きがどう社会課題解決に発展していくのかということなどをお伺いしました。

いきいき市民活動センターと岡本さんの紹介

野村: 最初に、岡本さんご自身の自己紹介と、いきセンについてご紹介をお願いします。

岡本さん: 僕は、まちとしごと総合研究所に所属して、まちづくりとしごと作りをどういう風にいい形でやっていくかを実践しています。具体的には、市民活動をされている方のファシリテーションや資金調達や組織基盤づくりのサポートなどをしています。

加えて、東山区のいきいき市民活動センターを運営しています。まちごと総研としては伏見、下京、東山の合計3つのいきセンを運営しています。

うちのセンターの特徴としては、立地がいい。三条京阪が徒歩5分の最寄りで利用者さんは、京都市内全域からこられている。たまに大阪、奈良、滋賀といった他府県からもいらっしゃる。

だから、地域の人もいらっしゃいますがこのセンターでは東山区で何かやりたいという方をかなり受け入れています。

もちろん地域の方も受け入れていて、一緒にお祭りをやったり。

野村: おかもとさんはフルタイムでそこにいらっしゃるんですか?

岡本さん: フルタイムで常駐しつつ、外に出る時間を積極的に作り、先ほどのべた市民活動についての相談を受けたりといったことをしています。

野村: 3つのセンターに違いはあるんですか?

岡本さん: 地域性があるので特色がそれぞれあります。

東山はメディア配信に力を入れて、地域で起こっていることや社会課題などを露出させていこうとしている。メディア配信や動画を撮れる人を増やしていこうと。世の中で起きていることが見える化されてそこに気づいた人がまたうちのセンターに来てくれて、対話が生まれて、そこから新しいものが生まれる。そういう対話の場にしていけたらいいな、と思っています。

何気ない市民発のアイデアが社会性を持って発展していく

野村: 今のやられている活動のフィールドで、これが一番嬉しかったな、こういうことがもっと起きて欲しいなっていう出来事を教えてください。

岡本さん: やってて嬉しかったのは、我々の事業に何気なく参加した人が、やってみたいことの発案をしてくれたんですね。そしてその場に、そのアイデアに社会性を付加価値として足す側の方が結構いらっしゃって、そこから具体的な取り組みになっていったんですね。そういう方を社会に輩出できるのが嬉しいです。

野村: 参加されるのはどういう年代の方が多いんですか?

岡本さん: 若者もいるにはいますが、多いのは4、50代の方です。

4、50代だと、ゴリゴリやってるようなところにはいけないけれど、ちょっとやりたい気持ちを持っているっていう方がいらっしゃるんですね。そういう一歩ずつやりたい方が集まってきます。

野村: そう言った方は、相談という形で来られるのですか。プログラムへの参加などが多いのですか。

岡本さん: まずは、プログラム参加などで知り合った方が、私のやりたいこういうこともできますか?ってセンターに来られます。それをこちらから、繋がったら良さそうなところにつなげて、やりたいことをどんどん膨らませていってもらうんですね。

そして、この流れを一回やると、みなさんハードルが下がるのか、同じ人がまた新しいことをやられるようになるんです。

野村: 活動のジャンルはどのようなものが多いのですか?

岡本さん: ジャンルに偏ってはいないのですが、

社会課題ベースでくる方よりも、スキルや経験をどう活かせるか?と相談に来る方が多いですよ。

野村: 何に活かせるかわからないけど、スキルがある方を事業に活かすってちょっと大変そうですが、例えばどんなことですか?

岡本さん: 事業というと大袈裟ですが、多いのは、トークイベントや勉強会などにつなげたりしますね。

一回あったのは、「ドローン飛ばしたい」という相談です。当時は、ドローンは知る人ぞ知る人しか使ってないような状況でした。このドローンを街の人が飛ばせるように、勉強会をしたらどうですか?と提案しました。うちの多目的ホールを使って、ドローン体験会と勉強会をやったらどうだろうか、と。すると、2,30人も参加者が来てくれました。さらにそこで生まれたつながりから、うちの主宰する事業に出てくれたり、外で活動されたり。

また、これはコロナで実現しなかったんですけど、保育士の方がみんなでお化け屋敷を作りたいと持ちかけてこられてこともありました。

子どもたちがお化け屋敷を自分たちで作るというプログラムです。そのプログラムの中では子供たちが自分で作る経験を積んで、ゆくゆくは社会の中でも作り手になれることを目的とした者です。これは本当に人気で申し込み多数でした。

その方は、青少年活動センターというところがやっているお化け屋敷を参考に、うちでもやりたいとお話を持ってこられました。

そういう、うちでもやりたいってお話持ってこられる方が多いですね。

野村: 話聞いてて、おかもとさんが天使に見えてきました。ちゃんと相談を受け止めて、社会的な企画にされてるんですね。

岡本さん: いえいえ、自分が面白く思うポイントや自分だったらどうするかを提案してるだけでして。やるのは皆さんなので、ただ提案しているだけなんですよ。

野村: いきセンの目指すことは、市民がやりたいことをやり、その人もまちもいきいきすること、ということでしょうか?

岡本さん: そうですね。地域をより良くすることを市民発の動きとしてできたらと思います。

よりよくするための地域の課題設定は、そういう課題、解決策を持ち込んでもらうことがいいのだと思っています。東山から課題を公式に設定するのも良いと思っていましたが、うちの区は縦長でいろいろな地域があるので、それぞれの地域に課題設定を押し付けるのは違うなと。持ってきてもらったものをよりよくしていくお手伝いをするのがいいのだと思っています。

市民のやりたいが地域外部までも巻き込んでいけるエコシステムを。

野村: 今後のエコシステムとして、いきセンの持ってるネットワークの外のどういう人たちとつながっていくと、より良い未来が作れそうですか?例えば、お化け屋敷の話なら、学校ともっと連携したいのか企業としたいのか地域の人にもっと来て欲しいのか。

岡本さん: つながりはもっと欲しいなと思ってます。つながっている近くの商店街とは、相談し合う関係ができてます。しかし、そういうところは少ないのでどんどん増やしたい。

なぜかというと、こんなことをやりたいっていう相談がきた時に、サポートがセンターのできる範囲に小さく収まってしまうんですね。資金や物品だけでも支えてくれるところでもいいですし、もしくは企業さんなどとしっかり一緒に取り組めたりしたらいいのにと思います。

野村: 企業さんと一緒に取り組むということについて、例えば、企業がSDGsに関わるイノベーションを起こしたくなったときに、東山とつながって何かする、というのは考えられますか?

岡本さん: 区としてはやりたいですね。ただ、地域にとってはやはり観光の収益などが重要になってきます。昔ながらの商売のやり方も大切です。そうなると、外の人が入ってきてイノベーションを起こすっていうのは難しい部分がある。だから地域の人からイノベーションを起こすのが良いですね。そうなると、僕たちは、外の人に繋ぐのに加えて、そこの根回しや関係性づくりをしていくのが良いのだと思います。

情熱の源泉は、人づくり

野村: お伺いしてて、この仕事に対してパッションがおありですよね。そのパッションは、いきセンの指定管理をこなしたいというものではなく、やりたいことがあるから指定管理をしようというものですよね。

岡本さん: はい、飯の種としてやろうとすればいくらでもサボれるのですが、そうすると面白くない。

センターの部屋の貸し出しだけでは面白くないんですよ。

だから、部屋の貸し出しだけでも何か面白くできないかと、虎視淡々と狙っています。

野村: そのパッションの源泉、街づくりに対してやりたくてしょうがないパッションはどこからきてるんですか?

岡本さん: 街づくりは人づくりというところがあって、如実に人が変わっていくのが見れる。人が面白そうに、苦労しながらも前に進んでる人、そういう方に寄り添えることが、やりがいがあって生き甲斐になる。ちょっとでもいいから前に進みたい人たちとご一緒できるのはすごくいいなと。

昔、よく大学から出たばかりの時は、友人とか先輩と飲んだりする中で、やれ一般企業の人は一億円の案件だ、年収いくらだ という会話ばかりでした。それの何が面白いのか、と思います。

地域活動では、子供がこういう風に変わるんだお年寄りがこういう風に楽しんでるだって、皆さんが自慢していて、そっちの方が面白いなと。

そういうことをおっしゃってくれる方々が眩しくて。

野村: おかもとさんの思いとかがやくいきセンの姿が感じられます。ありがとうございました。

東山いきいき市民活動センター

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