まちづくり・お宝バンク

貴重な歴史を後世まで残したい!寒天発祥の記念碑をつくる「伏見寒天プロジェクト」(第3回市民ライター講座の記事)

掲載日: 2019年6月5日

京都には歴史ある観光地がたくさんあります。その中で「伏見」というと、伏見稲荷大社や酒蔵などを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。世界中の人が訪れる京都を代表する観光地のひとつである伏見ですが、実はある食べ物の発祥地だったということはあまり知られていません。

それは私たちの食卓でもおなじみの寒天です。寒天が誕生したのは江戸時代初期。島津藩の武士が参勤交代の途中に伏見の旅館「美濃屋」に宿泊したことがきっかけでした。名物のところてん料理の余りをたまたま外に置いていたところ、しばらくして干物化しているのを美濃屋の主人が発見します。それを「ところてんの干物」として売り出したのが寒天だったのです。
しかし、寒天の発祥地が伏見である事はあまり知られておらず、現地にもそれを伝えるような物も何もありません。そこで地域資源としての寒天をもっと多くの人に知ってもらうとともに、後世に伝えていくため「寒天発祥の記念碑を建てよう!」と動きが始めたのが、海藻を取り扱う乾物屋の植野彰さんたちが始めた「伏見寒天プロジェクト」です。

具体的な活動は、寒天入りおにぎりや寒天入り餃子など、親子で楽しめるちょっと変わった寒天の料理教室や、寸劇、講演会などを開催することで寒天の奥深い魅力を伝えていくことです。例えば寒天は食料品としてだけでなく、シャンプーなどの化粧品や医薬品などにも活用されているのだとか!私たちが知らないだけで、寒天は身近な存在だったんですね。

このアイデアが本質的な解決策と言えるのは、記念碑を建てるという目標が目に見えてわかりやすいから、そして下手をすれば情報の押しつけになりそうなところを、ユニークなイベントにすることによって楽しみながら学べるようにしているからかもしれません。
もしみなさんも地域を盛り上げたいと思ったときは、地域にすでにあるものに注目してみませんか? 休日に散歩するだけでも、意外な魅力を発見できるかもしれません。

記事の執筆 京都精華大学人文学部学生

ページの先頭へ