まちづくり・お宝バンク

伏見桃山の全員が主役!温故知新「桃山プロジェクト」(第3回市民ライター講座の記事)

掲載日: 2019年6月5日

みなさんは「○○といえば△△だよね」という一般的なイメージについて、「それだけじゃないのになぁ」と違和感を持ったことはありませんか?

京都市伏見区の桃山エリアに住むみなさんも、自分が住んでいる街のいいものがあまり注目されていないことを残念に思っていました。というのも、伏見といえばもちろん「伏見稲荷」が真っ先に思い浮かびますが、その他にも魅力的な場所がたくさんあるからです。

例えば、桃山には江戸時代、食用の実や薬用の種を生産する日本有数の桃畑が広がっていました。数万本の桃が植えられ、山一面に桃の花が咲いていました。花見の名所としては吉野の桜と比肩されるほどで、まさに「桃源郷」と呼ぶべき場所だったのです。しかし1970年代以降は宅地化が進みかつての華やかな面影は失われつつあります。そこで現代に「桃源郷」を復活させようと2012年にスタートしたのが「桃山プロジェクト」です。

具体的な活動は、伏見桃山にもういちど桃の木を植えること、そして伏見桃山の歴史を伝承していくことです。1000本を目標に、学校や公園など約25ヶ所に300本の苗木を植樹したほか、桃の花が咲く3月にはウォーキングイベントを実施したり、水やりや清掃などの世話をしたり、桃の木をきっかけとしたさまざまなボランティア活動が生まれています。

このアイデアが本質的な解決策といえるのは、人任せにするのではなく住民主体の参加型プロジェクトだからかもしれません。ふだんは公園の木に水やりをする機会はないかもしれませんが、ここでは誰でも桃の木に水やりをすることができます。中には自宅の庭で桃の木を育てている方もいるのだとか! 桃の育て親として、そして地域の歴史を伝える担い手として、住民ひとりひとりがまちづくりの主役なのです。

ぜひみなさんも地元のいいところを知ってほしいと思ったときは、その場所の歴史を紐解いてみませんか? そこに住む人たちが一丸となって協力したくなるような、地域の未来をつくるためのヒントがきっとあるはずです。

記事の執筆 京都精華大学人文学部学生

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