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写真は美しい。でも、それを撮るあなた自身は?「景観を考えるフォトグラファーの会」とともに考えてみましょう!

掲載日: 2017年12月28日

祇園の街並みを背景にカメラを構える観光客

すっかり定着した「インスタ映え」という言葉。みなさんの中にも、ちょっと無茶な撮影をしてしまった、という方がいるかもしれません。

京都でも特に人気の観光地である祇園では、年々増加する観光客の撮影マナーに、頭を悩ませていました。

公道をふさぐ、公衆の面前で着替える、桜の枝を無理矢理引き寄せて折る……祇園という決して広くはないエリアにおいて、多くの観光客が好き勝手に撮影するため、景観が著しく損なわれているのです。

2017年春には、とうとう「祇園白川宵桜ライトアップ」が中止になるという事態に。実に27年間も続いてきた行事が、目に余る撮影マナーの悪さも あり失われてしまったのです。

 

美しい祇園を守りたい。そんな危機感から、動き出した人たちがいます。フォトスタジオTVB京都店フォトグラファーの岩本由加さんなど、祇園で主にブライダルの撮影を手掛けているプロのフォトグラファーをメンバーとする「景観を考えるフォトグラファーの会」です。

祇園の街の人々がこの3 月に立ち上げた「祇園新橋景観づくり協議会」と 協力し、撮影マナー向上のための啓発活動を行っています。

「写真撮影にあたってご協力のお願い」ちらし 日本語のほか、英語・中国語で書かれている。

最初に取り組んだのが、やめてほしいことを具体的に記した多言語のチラシを配布したり、メディアに取り上げてもらうこと 。一方、写真の良いところにも着目してもらおうと、地元である祇園の人たちを被写体として撮影し、協力してくれた方に、その写真をプレゼントすることも行っています。

さらにもうひとつ、地元の人たちと一緒に定期的に清掃することも、大切な活動になっています。

 

「美しい写真を撮ることができるのは、美しい街を守ってくれる人々がいるからだという事実を、もっと祇園に来るみんなに知ってほしいんです。写真を撮るときも、そのことに思いを馳せてほしい。訪れる全員が撮影マナーを守れば、美しい祇園は続くことができるんです。そうすれば、祇園でブライダル写真を撮ったご夫婦のお子さんが、また祇園で綺麗な写真を撮ることができるでしょう。それって、素敵なことだと思いませんか?」

みなさんも、今度写真を撮るときは、ファインダーから一度眼を離して、その周りに広がる景色にも注目してみませんか?きっとそこには、街の美しさを守る人たちの、地道な努力があるはずです。

石畳と緑、朱色の名札が鮮やかな祇園の風景

 

記事の執筆 鈴木ちよ さん、山口優 さん


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